脳神経科学

数字と人間心理

数字と心理の関係を体験してみる

数字と心理の話をする前に、下記のお題にお付き合いいただきたい。

1~50の数字の中で、好きな数字をひとつだけイメージしてください。シンプルな数字だと簡単に分かってしまうので、なるべく複雑な数字がいいかと思います。例えば、2桁の奇数などいかがでしょう?ただ、「11」みたいにゾロ目だと2桁の意味がなくなるので、「10の位」と「1の位」もそれぞれ別の数字を選んでください。さらに難しくするために、奇数でも割り切れない数字にしてみましょう。「10の位」も「1の位」も奇数で、割り切れない数字なら何でも構いません。

お題はここまで。

あなたがどの組み合わせでどの数字を選ぶかは、あなたにしかわからない。

もう一度、お題だけ整理しておこう。

1~50までの数字で、「10の位」と「1の位」が異なる割り切れない数字( 奇数 )1つイメージしてください。

お題にあなたのイメージした数字がズレていなければ、直感でイメージしたその数字を変えずにこのまま続きを読み進めてほしい。

あなたがイメージした数字

あなたが自分の意思でイメージした数字を今から当てられるか挑戦してみようと思う。

あなたが思い浮かべた数字は、 ここをクリック ではないだろうか。

違うけど…

という方は、恐らく最初の条件を読み飛ばしている可能性がある。

なぜなら、この問題は最初から「37」を選ぶように作られているからだ。

なぜ、ほとんどの人が「37」をイメージしてしまうのか?

実は、このお題の説明( 条件 )の中には、いくつかの心理トリックが隠れている。

今回の条件から解説すると、まず「10の位も1の位も奇数」となった時点で、数字の候補は1~50まであったにも関わらず、11・13・15・17・19・31・33・35・37・39 の10個に限定される。

実際はもっとたくさん残っているように感じていたはずだ。

また、「ゾロ目以外の割り切れない数字」ということで、更に絞り込みがかかっている。

残る数字は、【13】【17】【19】【31】【37】 しかない。

わずか2行程度の条件文で、50分の1だったものがこの時点で 5分の1 にまで絞られていたのだ。

人は無意識に「1」を避ける

人には無意識に「1」を避けるという心理がある。

例えば、

1~5のうち、どれかひとつを選んでください。

と告げた場合、「1」を選ぶ人はほとんどいない。

しかし、稀に1を選ぶ人もいて、そういう人は自分にかなり強い自信を持っている人であると、心理学上は解釈されている。

また、「1」は個性の強い数字でもあるため、今回みたいに

なるべく簡単な数字を避けて…

というと、「1」は心理的に自然と選びにくい数字になるのである。

素数の中から「1」が入っている数字を除外すると、残る数字は「37」しかない。

 

これらを瞬時に脳が判断しているため、無意識に「37」を選んでしまうというのが今回の問題に隠れていたトリックである。

冒頭でも述べたように、「奇数だけ」という条件があってはじめてこの問題は成立する。

ただ、条件にシバりを多用すると聞いた人は不自由な気持ちになり、ほとんど選択肢が残らないことに気がついてしまう。なので、今回はあえて言葉を変えて「理由付け」をした。

  • シンプルな数だと簡単に分かってしまうので…
  • ゾロ目だと2桁の意味がなくなるので…
  • なるべく難しくするために…

人は、「~なので」「~だから」というような理由付けがあると、無意識にそれを信じ、従ってしまうという性質がある。

答えは最初から決まっている

これは、カードマジックの世界などでもよく使われる心理トリックと似ている。

52枚のカードの中から好きなカードを1枚だけ選んでもらい、観客が選んだカードを最後に当てるというマジック。

種がわかっていない観客は驚くが、マジシャンからするとなんら不思議なことではない。

では、

なぜマジシャンには観客が引いたカードがわかってしまうのか?

ということだが、実は最初から答えは決まっているからである

例えば、観客がハートのエースを引いたとする。

観客は自分の意思で引いたカードがハートのエースだと思い込んでいるが、実際は観客自身が自分の意思でハートのエースを引いたわけではなく、マジシャンが観客に自分の意思で引いたと思い込ませるようにテクニックで細工をしているだけ。つまり、マジックというのは当てたり読み取ったりしているわけではなく、もともと決まっているひとつの結果に観客を誘導していくのが本来の目的なのだ。

 

今回のケースも、最初から「37」という数字をイメージさせることが目的で、そのために会話の中で「37」をイメージしてしまうような条件をいくつも出している。

もし、今回の条件がひとつでも欠けていれば、「37」という数字を選ぶ人はほとんどいなかったという結果になるのだ。

数字と心理を融合したトリックの一例である。

人はあらゆるところで心理的影響を受けている

心理を追求していけば、ビジネスでも応用がきくようになる。

ある店員に、

この商品を買ってください。

とストレートに言われると、ほとんどの方は

なんで買わなアカンねん!買うかどうかは、こっちが決めるがな。

と思うだろう。

営業やセールスの世界では、教育が終わっていない段階で

買ってください。

などと、お願いするような言葉を直接お客様に浴びせるようなことはしない。

商品の紹介や広告に「本日○○時まで70%オフ」と書かれた札を貼っておくだけで、目を留めたり、手に取ったりして実際に買う人が出てくる確率が格段に高くなる事例が実験によってすでに確認されている。

スーパーの広告で「○○%オフ」となっていると、

安い!!

といって、自分から車走らせて買い出しに行ったりしている人があなたの周りにもいないだろうか。

また、その近くに同じように大きく割引されている商品が目に留まると、買う予定のなかったものまで気付いたときには買っていたなんてことも少なくないはずだ。

コンビニのレジ周辺に、ガムや肉まん、からあげ、コロッケなどが当たり前のように置いてあるが、会計待ちをしているときについつい目が留まって、もともと買う予定のなかった商品まで買ってしまったという人は、これと同じマーケティングにかかっていると言える。

これらのことからもわかるように、「この商品を買ってほしい」という目的は同じなのに、条件やアプローチの方法に少し捻りを入れられることで、人は気付かないうちに自分の望んでいない行動を自然と起こしてしまっていることがあるのだ。

おわりに

他人に対して暗示を刷り込めるようになったり誘導ができるようになったら、それはかなりのものである。

心理学を知っていると多方面で応用が利き必ず役に立つときがくるので、興味を持った方は今からでも脳科学や心理学に関心をもっていただくと、その知識やスキルに助けられるときが来るはずだ。

心理は世界中にいるすべての人に生まれてから死ぬまで一生ついてまわるもので、死なない限り絶対に切り離すことはできないものである。

そんな知識やスキルを身につけることができれば、どういう未来が待っているかは想像するまでもなくわかるだろう。

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