売上高3兆7800億円を記録したセブンイレブンのマーケティングに隠れる心理学

セブンイレブンの歴史

眠らない街、ラスベガス。

セブンイレブンはアメリカラスベガスで世界初の24時間営業を開始した。24時間営業をするには、当時のラスベガスが最も適した土地だったからである。

テキサス州の氷屋からスタートしたセブンイレブンは、全米で5000店を超えるチェーンに瞬く間に成長し、1971年にメキシコ、続いてイギリス、中国を含む22ヶ国で13000店のコンビニチェーンに成長した。

日本で、第2次オイルショックが起こっていた頃、セブンイレブンが日本に上陸し、日本企業とライセンス契約を交わして日本進出を果たした。しかし、1990年、セブンイレブンを統括するサウス・ランド社が石油事業に失敗したことで破産

その翌年、セブンイレブン・ジャパンが本家、サウス・ランド社を買収した。

1973年にライセンス契約でスタートしたセブンイレブン・ジャパンが急成長を続け、わずか20年足らずで全世界で15000店以上のセブンイレブンを統括するまでになったのである。

セブンイレブンの歴史はこれぐらいにして、本題へ。

セブンイレブン・ジャパン

実は、世界中のセブンイレブンが大きく成長した理由のひとつに、日本が独自に考案した秘密があった。日本には約50000店ものコンビニエンスストアがあると言われているが、そのうち約6700店舗を抱えるのがセブンイレブンである。

一日の平均利用者数が670万人、一年間で24億人、国民ひとりにつき年間に20回以上利用している計算になる。年間のおにぎり、弁当の売上が9億2000万食、雑誌の売上1000億円以上、年間総売上額は1兆5000億円、 現在は国内だけで3兆7800億円。

当たり前だが、業界ナンバー1である。

顧客心理を持ち込んだセブンイレブンの経営戦略

セブンイレブンが成功した背景には、人間心理を巧みに利用した戦略があった。

セブンイレブン・ジャパンの代表取締役会長兼最高経営責任者の鈴木敏文氏は、

現代社会に必要なのは、経営学ではなく心理学

セブンイレブン・ジャパンCEO 鈴木敏文

と仰っている。

人間の心理として、人気がなく暗い店には入りにくいもの。しかし、深夜セブンイレブンに入ることを躊躇する人はいないだろう。

気付いていない方も多いと思うが、セブンイレブンの店内を照らす蛍光灯は入口に対してすべて平行に並べられている。

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蛍光灯が平行に並んでいるということは、蛍光灯の光が無駄なく外を向いているということ。

例えば、入口に対して直角に蛍光灯を設置すれば、外から見た場合、蛍光灯の明かりが外まで届く強さが弱くなる。

使用する蛍光灯の数は同じでも、入口に対して平行に蛍光灯を設置することで、蛍光灯の広い面が入口(店外)を向くため、より明るい店内を見せることでお客に安心感を与えている。

蛍光灯を入り口に対して平行に配置することで、店内へ入りやすくするという重要な役割を果たしている。

差別化

スーパーの棚は5段ぐらいなのに対し、セブンイレブンの棚は6~7段になっているはずだ。また、スーパーの棚は奥行きが上から下まで同じなのに対し、セブンイレブンの棚は下の棚ほど奥行きが広くなっており、棚板には傾斜が付けられているのが特徴である。

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棚の前に立って上から見ると、上の商品から下の商品まですべてが見え、商品のパッケージが目に飛び込んでくるような効果を与えている。衝動買いを誘う方法で、コンビニ店員なら誰でも知っているはずのフェイス陳列という販売テクニックのひとつである。

また、セブンイレブンには他のコンビニには無い、ビニール紐やロウソクまで常備している店がある。想像どおりの一番売れていない商品のようだ。

しかし、

コンビニに行けばあるかもしれない・・・。

男性

そう思って行くと、

男性客

本当にあった・・・。

こういったことから、他のコンビニは無いものが「セブンイレブンには置いてある」という安心感を与えることが目的とされている。

ビニール紐やロウソクなどは期限があるものではないので、食品のように売れなくても捨てる必要がない。決して売れるものではないが、セブンイレブンではこういった商品も常に絶やさないようにしてあるそうだ。

レジ回りエンド陳列テクニック

コンビニの販売テクニックにひとつに、「レジ回りエンド陳列テクニック」というものがある。

前の人の会計がなかなか終わらないとき、必要なものは買い終わっているのに、なぜかキョロキョロして店内にある物を意味もなく見渡してしまうことがあるだろう。

そして、前の人の会計が終わり、自分の順番が来ると

あっ、これもください…

女性客

といいながら、衝動買いしている自分がいる。すぐに会計をしていたら買うこともなかったはずなのに、レジ回りにあるガムや、肉まん、おでん、チキン、コロッケなどを買ってしまったという経験が一度はあるだろう。

レジ待ちの顧客心理を利用した、コンビニでは当たり前のように使われる販売テクニックだ。

また、人にはもともと壁際を歩く習性がある。

タバコなど、最初からレジ回りにある商品だけを求めて入店する場合を除けば、入った直後にレジ前を通過する人はあまりいない。というか、通過できない作りになっている。

コンビニはレジを避けて通ると、おのずと左回りになるように設計されており、大多数のコンビニがそういう作りになっているはずだ。

まず入口を入って右側に、雑誌コーナーがあり、続いてお弁当やパンコーナー、カップ麺やデザート、惣菜などが固まっており、冷却設備が必要なドリンク類は奥に設置されている。

飲料と弁当との間にデザートを置いてあるのも、プラス一品を狙った戦略だ。

コンビニは、これらの売上が約6割を占めると言われている。

フィールド・カウンセラー

コンビニにはフィールド・カウンセラーという人間がいる。

店員の制服ではないけどお客でもないような服を着て、陳列されている商品を触り散らかしているあの人たちだ。彼らは、品揃え、清掃、陳列などをアドバイスする仕事をしている。

1人で約7~8店舗を担当しており、売上アップの指導を行うのが仕事のようだ。

そして、北海道から九州まで全国に散らばったフィールド・カウンセラーをセブンイレブンは週に1回、会議のために東京本社に召集する。その数、約1000人。

この会議を行うための出張費用は、年間で15億円というから驚きだ。それが、JRや航空会社にも大きく貢献しているセブンイレブンの実態である。

当たり前のように出入りしているコンビニだが、ビジネスにはすべてに狙いと意図がある。普段目に留めないところに気付けるようになると、面白い発見新しい気づき、そこに隠された顧客心理が見えてくるようになるだろう。

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