「呼吸で相手を操作する」方法がある。
今回は、呼吸が人間の心理や感情とどのように結びついているかに簡単に触れてみようと思うが、タイトルでも書いているとおり、これは上級者向けのテクニックになる。
したがって、ある程度の観察眼が身に着くまではやらなくていい。
知識と経験が積み重なったときに今回の記事で触れる内容がベースラインとして必要になるときがくるので、今回は「呼吸」にも心理を読み解くためのサインがあらわれるということだけ頭の片隅に留めておいてほしい。
呼吸にあらわれる心理を読み解くためのサイン
表情やボディランゲージから心理を読み取ろうとする人は多いが、「呼吸」に注目する人はほとんどいない。「声」と同じで視覚に映らないため、意識的に観察しないとその変化になかなか気づけないからである。
普段、当たり前のように繰り返している「吸う」「吐く」という呼吸動作には、一見意味がないようでちゃんと意味が存在する場合がある。
例えば、人は発言の前には必ず息を吸う。息を吐ききってしゃべろうとすると、声が出ないことに気づいていただけるだろう。
え?出るけど?
という方は、息を吐ききっていないか、声を出す直前で自分でも気づかないうちに息を吸っているはずだ。
人は、何かを考えているときや気が張っているときに息を吸い、自分が言いたいことを話し終わったあとで息を吐いていることが多い。
息を吐いているときのほうが心理的に無防備で受け身になりやすい(自分のしゃべりたいことを話し終えた直後は気が緩みやすい)状態にあるため、相手を説得したいときは相手が息を吐いているタイミングを狙い撃ちすると要求がとおりやすくなるのである。
呼吸と感情
人は、相手が知るはずのないことを知っていると悟った(図星を突かれた)とき、「はぁっ( 驚き / 恐怖 )」と息を吸い込んだり、もしくは止めたりし、そうでないときは「ふぅーっ( 安堵 )」と息を吐くという特徴がある。
呼吸から心理を読み解くテクニックの詳細については上級者向けになるので割愛するが、呼吸と感情についての知識と観察眼があれば、あなたの質問に相手の呼吸がどう反応したかだけで本音を見抜くことも可能になる。
呼吸の変化は声のトーンと同様、その人の本音が目には映らない場所にあらわれる重要な観察ポイントである。
海外では事件の捜査の際などに、Voice Stress Analyzer(ボイス・ストレス・アナライザー)という音声ストレス分析機を用いて、人の眼や耳では確認しきれない声にかかるストレスを数値化することで、嘘や隠し事をあぶり出すという手法が取られることもある。
眼で確認できない場所なだけに、呼吸や声などにあらわれる特徴は決定的な証拠につながる重要なデータとして処理されるのだ。
まとめ:呼吸で相手を操作する
呼吸と心理の関係について簡単に触れたが、今回の記事でお伝えしたいことは2つである。
- 相手を説得したいときは、相手が息を吐いている(要求がとおりやすくなる)タイミングを狙う。
- 最初は気づけなくてもいいので、あなたの質問に相手の呼吸がどう反応するかをよく観察する習慣をつける。
実践と経験が必要になるスキルなので、機会があれば必ず意識して確認するようにしよう。