緊張しているときや不安を感じたとき、私たちは無意識にそのサインをカラダに出してしまう。
緊張や不安はストレスであり、ストレスによってカラダにあらわれるしぐさは、いずれもネガティブな感情を示すサインとなる。
カラダにあらわれるネガティブなサインは、そのしぐさが何を意味しているのかを見極められるかどうかが重要だ。
なぜなら、相手のカラダにあらわれるしぐさに気づき、そのしぐさから相手の心理心情を読み取れるようになれば、相手が心細くなったり不安になったりしたときでも、すぐに察知できるようになるからである。
カラダにあらわれるしぐさが言葉より雄弁なのは、多くの研究で証明済みである。
例えば、あなたが相手の友人について話を始めたときに相手が不安のサインを見せたら、相手とその友人との間に何らかの問題が生じているか、友人に対してどこか腑に落ちない一面を抱えていることがわかる。
また、久しぶりに顔を合わせた相手に「元気してた?」と声をかけ、「元気!元気!」と言いながら相手が不安のサインを見せたら、言葉と動作の不一致によって何かに悩んでいるか、元気になれない問題に直面していることがわかる。
顔を下に向けたり視線を落ちたりする機会が増えるので、すぐにわかるだろう。
この記事では、人が緊張しているときや不安を感じているときにあらわれるしぐさと、そのサインについて解説している。
- よく見かけるが、特に気に留めていなかった
- あのしぐさはそういう意味があったのか…
普段よく見かけるあのしぐさとその行動の意味を、あなたはこの記事で知ることになるかもしれない。
不安をあらわすボディランゲージ
「不安のサイン」とは、実際にどのようなもののことをいうのか。
それは「タッチ」である。
人は不安や恐怖を感じると、普段以上に自分で自分のカラダを触るようになる。これは、赤ん坊の頃に両親が抱っこしてなだめてくれたことに起因する。

自分の子供をなだめようとするときの親は、たいてい子供のカラダに触れているはずだ。
褒めたり励ましたりするときは頭を撫で、勇気づけようとするときは手を握り、悲しみを理解しようとするときはカラダを抱きしめる。
病院で寝たきり生活が続いている患者の不安を取り除こうとする看護婦も、患者の手に触れながら笑顔で勇気を与えようとするだろう。
また、親とはぐれた幼い子供を励ますときの大人も、子供の頭や肩に触れて安心させようとする。そういうときの大人は、無意識に腰を落として子供の視線よりも低い位置から子供を励まそうとするはずだ。
なぜか。
迷子になった幼い子供は、唯一の頼りである親とはぐれた時点で不安と恐怖に襲われている。
これは子供にとって強烈なストレスだ。あまりのストレスに泣き出す子供も珍しくない。
幼い子供にとって知らない場所や慣れない場所に行けるのは、信頼できる大人の存在があってのこと。
唯一の頼りである親とはぐれて一人になったところに、自分の何倍も大きな面識のない大人から見下げられるように声をかけられると、不安と恐怖に威圧感や圧迫感といった重圧が加わり、子供の不安や恐怖はさらに増幅する。
迷子になった子供を励ましたり勇気づけようとしたりする大人が、無意識に腰を落として子供よりも低い位置に視線を落として声をかけるのは、、、
- 怖がらなくていい
- 僕らは君の味方だ
- 一緒にお母さんを探そう
といったメッセージを子供に受け取ってもらい、自分(大人)に対して抱く警戒心や恐怖心を取り除こうとするからなのである。
たいていの大人は、幼い子供が面識のない大人に抱く恐怖を感覚的に理解しているため、小さな子供を前にすると無意識に腰を落として子供より低い位置に視線を置こうとするのだ。
あなたがもし迷子になっている子供を見つけたときは、子供の頭や肩に軽く触れたり手を軽く握ったりしながら、子供よりも視線を落とした位置から声をかけてあげるといい。
どれだけ穏やかで優しい言葉をかけようとしても、立った状態で上から声をかければ恐怖が勝って子供は怯えてしまう。
不安や恐怖を抱えている子供には、子供の視線よりも低い位置に視線を落として接する。たったそれだけのことで、子供があなたに抱く警戒心や恐怖心は大幅に軽減されるのである。
子供より視線を落として接することで、周囲の大人からも親切で優しい人という印象を持たれるはずだ。
声をかける際にカラダに触れたほうがいい理由については次で解説しよう。
接触が緊張や不安を和らげる
これら一連の行動には、すでに結論が出ている。カラダに触れることで神経の末端を刺激することになり、ストレスホルモンの分泌を抑えられるのだ。
このメカニズムは私たち人間だけに限らず、海陸問わずすべての哺乳類に共通する。カラダに触れられることで心がなだめられ、カラダ全体が落ち着くのである。
そして、その場に触ってくれる人がいないときは、自分で自分のカラダに触れてリラックスしようとする。
カラダに触れることでストレスホルモンの分泌が抑制されるということは、言い換えればカラダに触れるという行為はストレスを軽減するための無意識の行動ともいえる。
したがって、好きな人や好意を寄せる人からカラダに触れられたときは気分が良いが、嫌いな人や距離を取りたいと思っている人から触られたときは強烈な不快感に襲われるというわけだ。
嫌悪感を抱く異性からカラダに触られたときの不快感は、経験のある女性ならよくわかるはずである。
人で補えない心の隙間を動物で埋めようとする
男性に比べて、女性は寂寥感に苛まれる傾向が強い。
心が満ち足りず、もの寂しいこと。
(あるべきものが無いときに感じる空しさ)
- 一人でいるより誰かといたい
- 黙っているより喋っていたい
そういう女性は少なくない。
女性は男性に比べて繊細なので、感情が優先されやすく孤独や寂寥に弱い傾向がある。ペットを飼っている人を見れば、男性より女性が多いことに気づくだろう。
中には変わったペットを所有している人もいるが、一般的には猫か犬が多い。なぜか。
埋められない心の隙間や寂しさを、動物が与えてくれる癒やしで埋めようとするからだ。
猫や犬は、それを併せ持つ動物である。YouYube などの動画サイトに投稿される猫や犬の動画の再生回数が他の動物に比べて跳ね上がるのも、猫や犬が持つ癒やしを人が求めているからなのである。
よって、心の隙間や寂しさを動物で埋めようとする人は、そうでない人に比べて猫や犬などの動物を見かけると敏感に反応する。
カラダにあらわれるセルフタッチの種類
人が緊張したり不安を感じたりしたときにあらわれるセルフタッチは、これといって決まっているわけではない。そのときどきで、さまざまな現れ方をする。
- 手で顔をなでる
- 腕をさする
- 髪をいじる
- 唇を噛む
- 唇を舐める
- 耳たぶを触る
- 顎をさする
など様々だが、不安を感じたときにあらわれるもっとも一般的なセルフタッチは、首を揉む(触る・撫でる)である。
このしぐさは女性に多く見られ、首の下、頸切痕(両鎖骨の延長上にあるくぼみ)を触ることが多い。一方男性はというと、首よりも顔を触るのが一般的だ。
男性が首を触るときは、手全体で首を締めるかのように触るのが女性と異なる点である。首の他にも、額や頬を触ったり、深いため息のあとに息を吐き出したりなどがある。
一つ一つの動作を覚える必要はないが、セルフタッチはいずれも緊張や不安をあらわす、自分を落ち着かせようとするしぐさなので覚えておくといいだろう。
セルフタッチと心理
これらのセルフタッチ(自分で自分を触る動作)が、心理的状態をあらわすサインであることに気づいている人も多いだろう。
左指にはめられた指輪を右指で回してみたり、ネックレスやネクタイの位置を直してみたり、服のホコリを払うフリをしてみたりと、人は心理的に落ち着こうとすると無意識にする必要のない動作を挟むことがある。
特定のトピックが出たときではなく、あなたと会っている間ずっと相手がセルフタッチをしている状態が相手の通常の状態でないとしたら、相手のセルフタッチの原因はあなたの存在そのものということになる。
その場合、あなたは少し後ろに下がって相手との間にスペースを空けてみよう。そして、これまでとは違ったボディランゲージを相手に示し、相手の反応がどう変わるか確認してみるといい。