パレイドリア現象

パレイドリア現象

パレイドリア現象は、パレイドリア効果と表現されることもある。

パレイドリア現象(効果)

視覚や聴覚で受け取った刺激から、実際そこには存在しないものを自分のよく知る(知識に基づく)パターンでイメージを構成してしまう現象。

過去にシミュラクラ現象の記事を投稿しているが、パレイドリア現象はシミュラクラ現象にもっとも類似した心理現象といえる。

記事の後半で二つの違いについて触れるので、混同しないよう整理しておこう。

シミュラクラ現象

パレイドリアとアポフェニア

パレイドリアは、ランダムなデータの中に隠れる何らかのパターンを認識するアポフェニアの視覚的・聴覚的な事例である。

アポフェニア( Apophenia )

一見、「そこに意味はない」と思われる無意味な情報の中から、規則性や関連性を見出す知覚作用のこと。

例えば、数字選択式宝くじの一つに「ナンバーズ」がある。

宝くじなので基本的にはランダムであり、カジノやパチンコのように胴元が勝つための物理的な細工や仕掛けはないかもしれない。

しかしながら、当てようと思って当たるものではないことは誰もが理解している一方で、結果を見てみると「ナンバーズ」にしても「ロト」にしても、ほぼ毎日毎週のように日本のどこかで大金を手にしている人が出ているのも事実だ。

ロトは難しいかもしれないが、実はナンバーズは、今ある宝くじの中でもっとも的中に近づけられる宝くじかもしれない。

ナンバーズで数字を選ぶ際は、自分に「ゆかりのある数字」をひたすら買い続ける人も多い。しかし、過去に出現した数字からその流れを表にして追ってみると、的中に近づけるためのヒントがそこには見えてくる。

たまたまなのはわかっていても、よくよく見てみるとそこにはアポフェニアが存在していることに気づくだろう。

例えば、数字だけを見ていると見えないものでも、その流れを表にしてみると次のようなことが見えてくる。

  • 4つの数字の同合計が、2回連続して出現するすることは少ない。
  • 前回のいずれかの数字から1つ下がった(左にズレた)数字が高確率で出現している。
  • 4つの数字をひとつの塊で見ると、全体的に左にズレていっている。

こういった目には映っていても見ようとしないと見えないアポフェニアをどれだけ多く見つけられるかで、ナンバーズは的中させる確率を大きく絞り込むことが可能になる。

他にも、この表から確認できるアポフェニアは多々あるが、本題から反れるのでこれ以上は伏せておこう。数字選択式宝くじを買っている人は、より多くのアポフェニアをどれだけ見つけられるかが、当選の扉を開く鍵になるはずだ。

では、話を戻してパレイドリア現象の事例を見ていこう。

パレイドリア現象の事例

パレイドリア現象は、視覚または聴覚から受ける刺激が基準となる。

例えば、たまたま空を見上げたときに風の流れで形成された雲がある動物に見えたり、月の中にウサギが見えたり、断崖の一部が顔(擬態岩)に見えたり、イタリアの地図が長靴や女性のブーツに見えたり、京都府の地図がハンマーヘッドシャークのように見えたりするのがその一例だ。

パレイドリア現象

実際はそうでないと頭ではわかっていても、一度脳がそう認識してしまうと次に同じものを見たときにはそのようにしか見えなくなっていることがある。

これが視覚刺激によって受けるパレイドリアである。

コンピュータビジョンの画像認識プログラムでテーマになっているパレイドリア

パレイドリアは、コンピュータビジョンの画像認識プログラムのテーマにも採用されている。

Google 社の Deep Dream(ディープ・ドリーム)がそれだ。

Deep Dream(ディープ・ドリーム)

本来そこにはない目や顔といったモチーフを検知して強調し、心の中で起きている事象を視覚化するシステム。

少し気持ち悪いが、見れる人は観てみてはどうだろう。

インターネット上には、任意の写真や画像をディープ・ドリーム化できるサイトも用意されているようだが、画像が完成するまでには数分から数十分ほどかかるようだ。

バックワード・マスキング

聴覚刺激を利用したバックワード・マスキングもパレイドリア効果の一種である。

バックワード・マスキング(バックマスキング)

聴覚代替メッセージの作成技術。
特定のメッセージを逆回転させてレコードに書き込むことで、通常再生時には意識に入らないメッセージを潜在意識に刷り込む技術。

バックワード・マスキングの事例には、海外のポピュラー音楽がよく取り上げられる。

中でも、1968年にリリースされた「ザ・ビートルズ( The Beatles )」に収録されている「レボリューション9( REVOLUTION 9 )」は有名だ。


この曲の歌詞には、「Number nine, Number nine…」と繰り返している部分があるのだが、これを逆再生させると「Turn me on,dead man,turn me on,dead man…(私は死んでいく)」と聞こえる。当時は、ポール・マッカートニー死亡説の裏付けだと騒がれたほどだ。

他にも、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」の「And she’s buying a stairway to heaven.(そして彼女は天国への階段を買う。)」を逆再生すると、「Play backward. Hear words sung.(逆再生しろ。歌詞に耳を傾けるんだ。)」と聞こえたりする。

パレイドリア現象とシミュラクラ現象の違い

「パレイドリア現象」と「シミュラクラ現象」は、よく似ているが解釈は異なる。

シミュラクラ現象は視覚からの情報に限定され、さらに3つの点が集合した図形を顔と見てしまうように、結果も「顔」に限定されたものになる。

一方、パレイドリア現象は視覚と聴覚から受ける刺激の両方が対象であり、自分のよく知る(知識に基づく)パターンでイメージを構成するという点がシミュラクラとの違いである。

よく似た効果だが、解釈は異なるので混同しないよう整理しておこう。

まとめ:パレイドリア効果

パレイドリア現象もシミュラクラ現象と同様、脳のプログラムによって起こる現象のひとつである。

今回の記事で、自分の中で無意識に起こる奇妙な行動に理解が入り、スッとした人もいるかもしれない。

パレイドリア現象はあらゆる方向でその効果が応用されており、今後さらに追求されることになるだろう。

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